クローン病は治るのか?(2)

森田敦史です。

またまたクローン病の記事となります。今回は頚の解放と調腹法についてですので、クローン病に興味のない方でも何かの参考になるかと思います。

体軸法では、頚の解放プログラムと調腹法というセルフケアを重視しています。

これは頚と腹という人間を大きく観た時の機能的連結と捉えています。連結というからには何かを連結しているということです。

マクロ的に観ると、頚は頭蓋骨と胸郭を連結させ、腹部は胸郭と骨盤を連結しています。動きという視点から観ても頚と腹部の状態は極めて重要な位置付けとなり、また自律神経的に観ても、血流から観ても、極めて重要な部分であることは疑う余地はありません。

この頚の腹部の状態こそが体質を顕しているといっても決して過言ではありません。現実的に自律神経・体質等を考慮した治療をする場合は、頚と腹部を除外することはできないと考えています。

問題は、頚と腹部の慢性的な緊張状態。その緊張は動き全般、全身の血流、自律神経に大きな影響を与えます。頚の腹部の慢性的な緊張状態は万病の元であると考えていますので、どんな病気であろうと症状であろうと関係なく重要なところです。

そんな頚と腹部の慢性的な緊張状態を解除するのが、頚の解放と調腹法ということになります。本当はもっと深い意味があるのですが、ここでは割愛します。

頚と腹部の慢性的な緊張は、単に神経的な反射・反応に加え、動きにも大きな原因があると観ています。クローン病の場合は内臓(消化器)疾患ですので、動きと言っても具体的にイメージがつきにくいかと思います。例えば、強いストレスを受けた場合に人間が取る行動、つまり動きをイメージしていただければわかると思いますが、ストレスだけが頚と腹部の緊張に直結しているとはいっけん納得できそうでも、よくよく考えると少し疑問の余地が残ります。そこでストレスと緊張の間に、少なからず動きが入ってくると考えると自然になると考えています。

ストレスで我慢しているとグッと拳に力が入ったり、肩に力が入ったり、いきんだり、頚と腹を縮ませたりすることは容易にイメージできます。それらが積み重なると、なかなか力を抜くことが難しくなり、夜に寝ても・横になっても疲労が蓄積することになります。そんな状態を積み重ねていくと常に力が入った状態、力が全く抜けない状態が出来上がってしまうことになります。それが自然治癒力を低下させ、ある一定限度を超え、身体が耐え切れなくなると何らかの症状や病態として表面化してくると考えています。

ここで言う緊張とは、本人にも気づけないほどの微細な緊張の積み重ねの事を指します。気付かないからこそ問題であり、時間を掛けて少しずつ浸透していくわけです。

積み重なってくると、その慢性的な緊張自体が緊張を呼ぶという悪循環に入ってしまいます。こういった体質は、クローン病を克服する際に極めて重大な障害になると考えています。消化管の炎症や潰瘍、検査値などの部分に目がいきがちですが、この根本的な問題を見逃してはならないということです。

私が動きの癖を徹底して変革した理由は、自分自身の動きによって引き起こされる身体の緊張もあり、それが積み重なって不調体質を強くするわけですから、少なくともその部分に対しては自分自身でコントロールが出来るはずという想いからでした。

ストレス等の刺激からくる心的現象を、動きを介して身体(特に頚と腹部)の微細かつ継続的な緊張に反映させないという作業になります。この作業の利点は、自分自身の動きの癖ばかりか思考の癖、嗜好の癖、またどんな時に緊張しやすいのか?といった情報を把握することができるという点です。自分自身の緊張を誘発する因子を把握できるということは、クローン病克服への取り組みに大きな役割を果たすということは言うまでもありません。

だから、筋肉・骨格系の不調でも、内臓の不調でも動きは重要なのです。ちなみにもっと言えば現在起きている心的現象はあくまで現象です。その現象の因は今にあるのではなく、過去の体験の積み重ねによりいわば結果のようなものです。その結果の心的現象に対して事実認識することはあっても、その現象が緊張という形で今の身体の動きに反映されるということは、その今の緊張は未来から観れば過去にあたり、今の緊張が未来の身体現象の因となるということです。ということは、過去の体験に起因する身体緊張への干渉をどこかで遮断する必要があるということです。

ちなみに心を変えるというのは今現在の心的現象を基準に変えようとしても難しいと感じています。今の心的現象は過去に起因するものですので、それ自体を心的努力でどうにかするということは、極めて強固な意志が必要となる難しい作業になります。

無理して前向きになる必要はなく、かといって後向きになる必要もなく、単に取り組む対象は自分自身の心的現象の事実認識と心的現象の動作反映を徹底して制御するという作業で、まずは十分ではないかと思います。

そういった日々の積み重ねに加え、既に緊張してしまっている頚と腹部の緊張に対しては頚の解放と調腹法は非常に有効な手段であると考えています。

淡々と、今を変えていく事によってジワジワと水面下で体質が変わり、自然治癒力が十分に発揮できる環境まで行くと回復スピードが速くなってくると言えます。そこまで粘れるか?というところが実際の課題なのだと思います。

人によってそれぞれですが何年というスパンではなく月単位で変化を認識できると思いますので、決して長くはないですね。

実際、軽度ではない私の場合もポンッと重大な事に気付いて顕在意識下で作業を始めてから症状消失まで1年でしたから・・・

長々とありがとうございました。