クローン病は治るのか?

 森田敦史です。

 今回もクローン病関連です。関心のない方には恐縮です。

 クローン病は治るのか?という問題を考えるときに、必ず考えなければならないのは“治る”という事の定義、“完治”の定義です。

 完治という事は具体的にどのような条件を満たしたときなのか?

 私なりの答えを言ってしまえば、完治というのはクローン病の症状がなく、薬も通院も検査もせずに、クローン病になる以前の生活に戻しても、未来永劫クローン病になること・・・ではありません。

 私は、クローン病は一部を除いては生活習慣(生活・思考・食事・ストレスなど)という原因が個体の特性(体質)に作用した結果、クローン病という形で現象化しているだけで奇妙奇天烈な難病とは考えていません。

 生活習慣とは、もっと言えば、意識・無意識問わずに自分自身で設定した環境ということになります。

 そういった観点から考えると人間は一般的には自分で作る、あるいは与えられた環境の中での変化と反応が死ぬまであるだけですので、その意味をどうとらえるのか?という問題があるだけだと考えています。個人的には、変化と反応があるだけだと考えていますので、病気という概念や治るという概念は私の中には認識はしていますが判断基準にはなっていません。

 その変化と反応が不都合なく調和された状態を淡々とコントロールし続けていくことしか考えていないということです。あえて治るという定義を言うならば、これがそうです。自分に不都合のない環境設定と、不都合に耐えうる心身を少しずつ強化していくことです。

 その環境設定という原因が、現象化しますから当然、クローン病という現象は消えてなくなると考えています。

 但し、注意しなければならないのは、現象は物質に影響を与えるという点と、一度作った道は道として残存してしまうという点です。

 前者は、例えばクローン病という現象化が進んでしまい、狭窄がひどくなるであるとか、腸という物理的機能が低下するであるとか、そういった問題です。現象の物質的な結果は、現象が治まっても残るものであり、改善する事も当然ありますが、それには長期的な取組みが必要です。現象が物質的変化をひどくきたす前にどうにかする必要があると考えています。現象化と物質的変化が重度かる複雑な場合は、いわゆる完治は難しいかもしれません。

 後者は、一度クローン病発症という道をたどってしまうと、例えば症状や所見が消失しても、注意しなければその道をたどる可能性が他の病気発症に比べて高いということです。身体や脳にクローン病発症という体験が残存してしまっているためです。例え記憶から忘却されても、その体験は奥深くに残存しており、生涯消えることはないということです。だからと言っておびえる必要はありませんが・・・

 話がややこしくなってきましたが、要は“治る”というイメージは意外に抽象的であるということです。 

 例えば、とっくの昔に完治していると考えている私でも、治らないと定義されている西洋医学的見地に立てば、完治しているわけではなく単なる緩解期ということになります。

 また、それではあなたは未来永劫クローン病にならないかと言われれば、そうでもありません。自分自身でコントロールしているため、ならないようにすることはできますが、逆に再燃させることも出来ます。つまり、そのような環境設定をすれば、先に述べたように体験として残存しているので比較的容易に再発させることが可能なのです。

 これは人体実験済みです。

 これは以前にブログでも書きましたが、あえて毎日ファーストフードを食べたり、といういわばクローン病になるような環境を作ったことがあります。私の場合は、ハンバーガー等のファースドフードが身体に作用する典型的なものでしたのでそれを選択した次第です。

 私の場合、原因が現象化されるまで2~3カ月だと考えていましたが、4月から始め、6月末には独特のなつかしい症状が復活しました。結果として7月いっぱいは独特のしぶり腹・下痢・胃部の不調・倦怠感・微熱などの症状が続きました。

 原因が現象化されるまで2~3カ月ということは戻るのも2~3カ月かと考えていましたところ、8月末には復調しました。こんな馬鹿な体験は二度とすることはありませんが、どうしてもクローン病という病気を深く理解するため、またクローン病患者さんを治療する治療家として自分にとっては必要な作業でした。

 治るというのはコントロールするということに近く、コントロールすることを止め、元の環境に設定すれば、時期の差こそあれ、そのような結果になるということです。

 まとめると、完治とは未来永劫何の注意もなく、クローン病発症以前の生活に戻ってもOKということではなく、自らの心身コントロールによって症状・所見・検査値ともに不都合のない状態を苦も無く当たり前のように続けている状態を指すのではないか?と考えています。

 そういう意味では、クローン病完治の第1歩は「治してもらうんだ」ではなく「自分は変わるんだ」という主体的な意志決定なのかもしれません。

 クローン病に限らず、私が存じ上げている治らないと言われた病気を克服している方は等しく主体性を持っています。

 今、私が診ているクローン病の患者さんもそう、私が診ていなくてもこのブログを通して「私も完治に向かって頑張っています!」というメールをしてくれる方達も強い主体性を持っています。決して完治を目指して行動している方は多くはありませんし、完治という言葉を使おうものなら怒られるか呆れられるかが多い現状ですが、このクローン病という病気は基本的には、あきらめる必要など全くなく、希望はあると信じています。

 人がどう思おうとその人の自由ですが少なくとも私はそう考えています。

 届く人にだけ届いたら幸いです。

 言葉足らずなところもあったかと思いますが、何卒ご了承ください。

 森田敦史