身体作りの考え方~連載(2)~

原因というのをよく考えることは大切です。ということで前回と同じような内容ですが視点を変えていきます。

ここでは急性的な怪我や感染症等を除外し、慢性的な不調という視点でお話します。

往々にして、人は痛いところ、つらいところにしか注意は向きません。これは無理もありません、そうさせようと身体がシグナルを発しているのですから・・・

しかし、症状のある部分は現象(結果)であって決して原因ではありません。

私達は、どんな慢性症状であっても基礎となる体質は同質であると考えています。

前回、頚と腹部の緊張から全身緊張へと繋がってくる。それが全身の虚血・酸欠、つまり血流低下状態を作り出すという事を説明しました。血流低下は当然ですが、免疫力や代謝力が低下し、疲労が回復しにくい状態ということになります。結局、自然治癒力が働かない環境です。

自然治癒力が働かない・働きにくい環境は、言い換えると〝いつ不調が出てもおかしくない体質”ということになります。

自然治癒力は放置治癒力ではありません。放置しても治癒する環境を作る事が必要ですので、そもそも何も環境作りをしない段階で放置して自然に任せるというのは変な話です。

さらに言えば、頚と腹部が緊張する体質の背景には、人間が抱える普遍的な課題が存在します。この普遍的な課題こそ、私達は根本的な原因と捉えています。

その課題とは、いつも治療で言っていることですが

  • 常在感覚
  • 実認識力
  • 感情動作反映率
  • 注意の上昇と執着
  • 進化の代償による体勢変化

等となります。ちなみに私達が採用している動法のほとんどは、この普遍的な課題の修正・改善の為の動きです。

根本的な身体作りとは、形体的アプローチではなく動作修正・心的要素追求というような事までアプローチするということです。

つまり、現象(結果)として確認されている症状を追求するだけではダメです。

そして、なぜそれを動く事によって変えるのか?という理由は、心ー動ー身の記事を参考にしてください。

動く事を通して、人間が抱える普遍的な課題を修正・改善した先に、根本的な体質変化が起こります。

血流循環体質とでもいいましょうか。緊張体質から循環体質へと変化していく事によって自然治癒力が働きやすい環境になります。

いつ不調が起きてもおかしくない体質から、不都合なく軽く楽に動けて当たり前の心と身体になるということです。

結果として、症状などの不都合が改善・消失するものです。

どんな慢性症状でもやることは基本的には同じです。

今日は、ある患者さんに「土を変える」とお話しましたが、土とは体質の事ですね。

放っておいても治癒する環境をいかに作れるか?

割と難しい、人が取組みたがらない課題ですが皆さん頑張っています。

森田愛子

*追記:ちなみに最近、ポツポツと「私達」という表現をしていますが、これは私と代表ではありません。今、ヨガや治療で普遍的な課題に取り組んでいる方達の事です。同じ考えを共有している同志という意味です。これからもお互い進化していきましょう!!