身体作りの組み立て方~連載(1)~

しばらくは基本に立ち返ってみます。

身体作りをするときには、幹と枝の関係をよく考えるといいと思っています。

具体的に言うと、幹とは体幹、四肢(手足)は枝です。ちなみに幹と枝を栄養する要素を頚と腹部の在り様と考えています。

それを踏まえた上で考えると、

シンプルに考えると、身体の血流等の循環の鍵を握るのは頚と腹部です。

当然、その部分に強い緊張がある場合は、全身の血流は悪くなります。*ここで言う頚と腹部の緊張とは、静的・動的両方の緊張です。また、柔軟性がある=緊張していないとは限りませんのでご了承ください。

同時に頚と腹部は、頭と胸郭(肺を囲む肋骨)と骨盤を連結します。頚と腹部が緊張するような動きを修得している場合、当然そこに挟まれた立場である胸郭の動きが制限されてしまいます。

胸郭が制限されるということは、肺、つまり呼吸も制限されてしまいます。全身循環の要である頚と腹部、そして呼吸が制限されてしまっている状態です。

慢性的な不調体質の場合、多くはこのパターンに該当しています。

そのうえで、仕事で長時間同じ姿勢であるとか、偏った動きをしてしまったであるとか、何等か個々の原因が重なり、引き金となって症状が出ると考えています。

そういった考え方を持っていますので、まずは頚と腹を解放した動きに修正し、それによって得られる姿勢(体勢)を確保することが〝幹”にあたります。

肩が痛い、腰が痛い、膝が痛いという枝の部分は、急性的な問題以外は幹を修正する事に上に成り立つと考えています。

わかりやすく言えば、根本治療と対処治療ということになります。

それではなぜ頚と腹部が緊張してしまうのか?注目すべき一つの例としては、人間は何らかの刺激によって意識・無意識問わず〝危機”を感じると頚と腹部を緊張させることが極めて多いということです。もっと言うと、頚・腹部からではなく手足(特に手)を同時に緊張させるということです。

例えば、精神的ストレスという長期間に渡る刺激を受けると、そこから身を守るように、腕・頚・腹部を緊張硬直させ、防御姿勢を取ることになります。また、その体験を積み重ねると、常に防御状態になり、力が抜けない状態が慢性的になってしまいます。これは比較的女性に多いですね。

しかし、それだけではありません。

例えば、性急な性格の場合もそうです、人間は性急になると、なんでも手脚から動きになってしまいます。手脚からの動きの場合、そのほとんどは体勢が取れてない状態と言えます。体勢が取れていない動きは頚と腹部に無用な緊張を与えてしまいます。

そういう動きの積み重ねによっても頚と腹部の緊張が慢性的に強くなります。これは比較的男性に多いです。

誰がどのタイプというよりも、両方共にそれなりに割合としてはあると思います。細かく言えばまだまだありますが、代表的な例として挙げました。

どちらにせよ、手(脚)というのが重要なポイントとなります。手(脚)に関しては過去記事でも、これからも書いていきますが、頚と腹部の緊張状態と手(脚)の在り様は相関しています。

手(脚)からの緊張が頚・腹部に伝わるとまずい状態が起きます。手(脚)から頚・腹部に緊張を伝える一つの要になっているところが、肩・肘、そして骨盤(股関節)です。

手(脚)からの緊張連動を全体へ波及させないために、足元の3点軸のコントロールと、肩と股関節(正確に言うと腰骨グリグリ)をコントロールすることが大切です。

3つの土台というのは、身体をコントロールするための3つの重要な要素ですね。

最終的には、頚と腹部、呼吸、そして血流循環に繋がっていきます。

なかなかうまく説明できませんが、ご理解くださいね。

森田愛子