意識の限界と不可抗力の可能性~抜けてしまう~

 身体の緊張を取りたいのであればストレッチ・マッサージなどもいいと思います。

 しかし、身体の緊張の原因である“動きの緊張”を治す場合は、ストレッチ・マッサージなどでは不十分です。

 ストレッチ等は身体の緊張は取れるかもしれませんが、動きの緊張は取れない確率が高いのです。ちなみに動きの緊張を取れば身体の緊張も取れます。

 動きの緊張を取る場合のポイントは、「力を抜いた動き」をすることですが、人間はなかなか力が抜けるものではありません。

 なぜならば、動きの緊張は無意識的に起こっているものが多く、意識の範囲を超えているからです。つまり本人が気付いていないことが多いということです。

 力を意識的に抜くことはとても大切なことですが、限界があります。

 ポイントは、その動き、つまりヨガでいうアサナや体軸法でいうと動法ですが、その動き自体に、

 “力が抜けてしまう、入れたくても入らないポジション”

 を入れることにあります。

 意識・無意識問わず、力が抜けてしまう世界です。

 これは非常に重要なポイントです。

 例えば、動きという観点から、お腹を緩ませたい場合は、お腹に力が入らない、そんな状態を演出してあげることが重要です。

 プラスとして大切なのが、どの状態で力を抜く動きを修得する必要があるのか?というところです。

 立った時にお腹を緩ませたいのであれば、立った状態でお腹の力が抜けてしまう状態を自動的に作れるかどうか?ということです。

 寝た時に緩んでも、立って緊張したら、それは意味がないということです。体軸法動法の多くがデロンと寝ないで、立って行う意味がここにあります。また、緩むばかりを目的とする体操に否定的な理由もここにあります。

 わかる人にはわかる世界です。

 ヨガレッスンや治療に来ている方は間違いなくわかる世界です。ピンと来ない場合は、聞いてください。

 情報提供:体軸法 渋谷鍼灸理学治療室 森田敦史