大切なのは何をする以上にどうするのか?~すくいの手~

“すくいの手”とは、ある先生の言葉です

治療師やインストラクターが例えば相手の腕を持ち上げたいとき、腕つかんで持ち上げると、それでけで相手が無意識的に緊張してしまい、腕が挙げにくくなったり、重く感じたりするということです

専門家とアマチュアの決定的な違いの一つと言ってもよいかと思います。身体を自然に動かし、誘導できる人間は、掴みの手ではなく“すくうように”動かします。

この“すくいの手”が“救いの手”になるということです。このすくいの手を使うだけで関節の動く範囲(可動域)が広がることなどよくあることです

つまり、何をするのか?というよりも、どのようにそれをするのか?という問題です。要は技やスキルは使い手の問題もあり、なんてことない技やスキルも使う人が使えば最高の効果になってしまいます。

簡単に言えば、人間の動きを邪魔しないこと

人を介助する場合も同じです。代表は以前は要介護者の歩行訓練をやっていましたが、その際には、絶対に相手の正面に立たない。つまり、相手の正面に立って、両手を掴んで介助することはしないと言います。

また、自力で歩ける場合も絶対に正面には立たないそうです。

これは単純な話、相手の進む道を閉ざしてしまわないようにするため、前とは未来、相手の前に立つということは相手の未来を閉ざすこと。

細かいことですが、このような気遣いをしていたようです。でも、これも当たり前のことですね

治療もヨガも介助も、大切なのは、その先、未来を見せてあげること。未来があるから人間は歩めると思います。

少なくとも治療師やインストラクターは、患者さん・生徒さんの邪魔をすることだけは絶対に避けなくてはなりませんね

情報提供:体軸法 渋谷鍼灸理学治療室 森田愛子