クローン病狭窄に対する見解。

 森田敦史です。

 そうなるには、そうなる理由がある。という発想が治療師には大切になってきます。クローン病にかかわらず大切な発想ですので、興味のある方は読みすすめていただければと思います。

 クローン病で困ってしまう所見の一つに腸の狭窄があります。狭窄というのは、簡単に言えば狭くつまってしまう状態です。ある程度、慢性化してくるとついてくるのが、この狭窄という問題です。

 治療師をしている人間にとっては、当たり前の事だと思うのですが、狭窄している患者さんの身体に触れていると、必ずその反応が体表に出てくるものです。体表とは身体表面の皮膚や筋肉ということになります。

 ここで出てくるのが、張力論。

 どこかが縮めば、どこかが引っ張られれる。どこかが引っ込むとどこかが出る。

 そんなバランスを無意識的にとるのが人間というものだと考えています。

 狭窄をしている場合、その狭窄部分を中心に、身体が特有の捻れ方というか、歪み方をします。

 その狭窄に合わせる形で、身体全体が出来てしまうというものです。

 慢性化すればするほど、強く出現するような気もします。

 ここで大切なポイントとして、そういった歪体が出来てしまっている以上、例えばは狭窄部位が正常化しようとしても、身体全体が狭窄に合わせた形でセットされている以上、戻りたくても戻れないという現象が起きてしまうということです。

 人間は、いつでも本来あるべき位置に戻ろうとするのですが、その狭窄部分以外の環境がそうできない状況を作っているとすると、クローン病の狭窄というのは、単に腸だけの問題ではないということが言えます。

 慢性捻挫も似ています。

 捻挫をすることで身体全体に捻れた動きがインプットされ、その動きが捻挫を中心とした形を作ります。すると捻挫した部分の問題が解決されても良い時期であるのに痛みが引かないときがあります。

 これは捻挫部位の炎症や腫れなどの物理的状態が改善されても、身体全体のバランスが捻挫中心にある以上、なかなか回復できないというものです。

 こういった場合は、捻挫部位ではなく身体全体のバランスを修正してあげるだけで捻挫症状が改善される可能性が高いです。

 話を戻しますが、整体というものがクローン病に有効である理由の一端がここにあると考えています。つまり、狭窄部分をどうにかできなくても、狭窄に合わせる形でセットされた狭窄から観れば外部の環境(身体全体)を整えてあげることで、症状や状態の改善することが確認されていますし、可能であると思います。

 人間は、気づかぬ間に、悪いと思っている部分を中心に身体を形作るという習性があるように思います。

 どこを中心に身体を作るのか?

 血流や血液の質の向上も大切ですが、その血液が存分に機能し、結果を残せる身体を作ることも大切な作業の一つではないでしょうか?

 そういった観点で、人間を観察していると思わぬ発見があります。

 情報提供:体軸法 渋谷鍼灸理学治療室 森田敦史