「動いちゃった」という感覚

 今しがた24●●TVを見ていましたら、マラソンの高橋尚子さんが走りについてのコツを話していました。

 些細な事なので、気にする人もあまりいないかと思いますが大切な事ですので、書いておくことにしました。

 これは「動かす」と「動く」という前回のブログのテーマと直結する部分になります。

 高橋さんが言うには、「蹴らないで、身体を前に持っていくと足が自然に出る、出ちゃう」というようなことでした。

 実は、これが「動き」の本質的な部分です。

 蹴るというのは、「動かす」、動かそうとすると同時に動かさない力が働きます。これは動かそうという気持ちが大きいほどにそうなります。

 動かそうという強い気持ちは、その部分への意識を過剰にしてしまい、逆に力みを生じ、身体全体のバランスを崩してしまいます。

 ところが、人間は後ろから身体を不意に押されると、とっさに足が前に出ます。これは意識しなくても、動かそうとしなくても自然と出る反射・反応のようなものです。

 反射・反応というからには、何かに刺激に応じているということにもなります。

 何かの刺激とは何かというと、歩く際には身体を前にのめるような姿勢にすると自然と足が出やすくなります。

 最初は、前にのめるという姿勢を顕著にとると誰でもできますが、慣れてくると、その自然に出る動きの感覚が身につきます。

 そうなると、特にまえのめりにならなくても、自然と足が出るようになるわけです。

 この場合においては、身体を前のめりにするという刺激に、足が反射・反応的に応じたということになります。

 このように身体は、多様な動作をしますが、ほとんどの場合、このような動きが可能で、それが体得できると圧倒的にエコな動きが出来るようになります。

 当然疲れない身体にもなりますし、本来使われるべきところが自然と使われますので、色々な身体効果が期待できます。

 動かすのではなく、動いちゃった、ということです。

 この動いちゃった感覚を積み重ねると、本当の意味で「動かす」ということがわかります。

 情報提供:渋谷鍼灸理学治療室 体軸法 渋谷