“無形”の“伝承”~ちょっと専門家向け~

 雪ですね。個人的には雪は好きですが往診に支障があるので、そういった意味では困ります。

 さて、本題に入りますが、歴史ある体操法や健康法は、歴史を重ねてくるとまず質が低下します。つまり、効いたという人が少なくなってくるのです。

 これの大きな要因の一つに、創始者が残した型や形にばかり、目が行ってしまい、質の部分がおざなりになってしまっているということが挙げられます。

 特に明治~昭和期に開発された手法に顕著に現れています。

 どの世界にもあることなのですが、本質的な部分は、まずもって“無形”です。“無形”のものほど伝えることに苦労するものはありません。

 “無形”のものを伝える作業を“伝承”と私は解釈しています。

 同じ健康法をやっていても、“無形”を“伝承”された、自分で気付いた人と、“形”にこだわり、手法を“覚えた”だけの人では、雲泥の差が出ます。

 しかし、この“無形”の部分は、健康法に限って言えば、流派はないように感じています。その表現方法は違っていても、極めて酷似する点があります。その先生の著作などを読めば本当にその事がよくわかります。

 話を戻すと、創始者がなくなって年月が経過すると、“無形”よりも、目に見てわかりやすい“形”を重視する人が多くなり、結果的に効いたという人が少なくなっているように思えてなりません。

 ●●健康法は、全然効かなかった、という前に、その前に自分がそれをしっかりと理解しているかどうか?を考えた方が良いかもしれません。

 昔流行って、今はすたれた健康法でも、それは使う人間の問題も多分にあり、健康法だけにその問題を押しつけるのは早計です。

 これから一から勉強される方は是非この“無形”の“伝承”という事の意味をよく考えられると良いかと思います。

 それにしても“無形”の“伝承”をはるか前から続けてきている世界は本当に凄く、その伝承システムには非常に興味が湧くところです。

 情報提供:体軸法研究会 渋谷鍼灸理学治療室 森田敦史