たまには運動学

森田敦史です。

たまには運動学的な記事もいいかと思いまして・・・

筋肉のコリを取るということは単純に筋肉のコリをほぐせばいいというわけではありません。逆に言えば安易に筋肉を緩めてしまうと身体バランスを崩すということも考慮しなければなりません。そのため「気持ち良いのはいいことだ」というのは大枠で考えれば正解でも、筋肉のバランスを考えたときには個人的に違うと考えています。

例えば、太ももの裏側のコリ(緊張)、太ももの裏側が硬くて前屈して床で手が届かない、というような方もいるかと思います。

それでは、対処としては太ももの裏側をストレッチして緩めればよいのか?という話になりますが、そう単純にはいかないのが身体というものです。

例えば、太ももの裏側を緩めようとした場合は、まず太ももの前側の筋肉の状態と、その筋肉の動力エネルギーの方向性をチェックします。往々にして、太ももの裏側にコリ(緊張)が強い場合、この太ももの前側の筋肉が正常に作動していないことがあります。

ということで、まずやるべき事は太ももの前側の現状の筋肉の変位と動力エネルギーの方向性をリセットし、新たに方向付け・再教育を施します。この時点で前屈してみると、明らかに前屈力は上がります。その上で太ももの裏側のストレッチ等の緩める手段を講じていきます。

*簡単に説明してしまいましたが、あくまでイメージをつかんでもらうためであり、身体は部分的な連動だけではありませんので、この限りではないということを了解していただければと思います。

ここまでやって初めてバランスと言えます。緩めれば筋肉のバランスが整うわけではありません。

つまり、整体の初歩としては緊張した筋肉をただ緩めればよいというわけではないという認識が必要であるというです。その筋肉のコリ(緊張)を引き起こしているその他の筋肉の変位と、動力エネルギーの方向性が重要なポイントになります。

  1. 問題となっている筋肉の変位と、その筋肉の動力エネルギーの方向性をリセット。
  2. その上でその筋肉に新たな方向付け・再教育をかける。
  3. 最後に緩めたい筋肉に対しての緊張緩和処置を施します。

筋緊張を緩めるというのは、こういった前提ありきであると考えています。面倒くさい内容ですが実際の時間としては数分で済む内容です。

この考え方を理解するためには、筋肉の性質をある程度は理解しておく必要があります。特に筋肉の等張性収縮と等尺性収縮はとても大切になってくると以前整体を教えていただいた先生から言われていたことです。

ですので、例えば太ももの前側の筋肉を放置した状態で、太ももの裏側を根性で緩めてしまうと、時としてその事がバランスを崩して、動きの連動をおかしくし、不調につながることもあるということです。

つまり、結論としては「ただほぐせばいい」というわけではないという事が言いたかったのです。