身体を育てなおす

 森田敦史です。

 緊張するような動きになってしまったのは、先天的(生まれつき)ではなく後天的なんではないですか?

 指導塾での一コマです。

 その通りです。

 骨格や筋肉の遺伝的要素として、ある程度は動きに影響を及ぼしますが、不調と直結するような身体の動かし方は後天的に、つまり生まれてから動くという体験の積み重ねによって身についたものです。

 

 ではこの動かし方はどのように修得されてきたのか?

 もっとも大きいのは“環境”であると考えることができます。

 子供の頃に親や身近にいる人の動きを無意識的に真似をしたり、また柔道やスポーツなどの特定の動きをする環境にいる、というような例でみるとわかりやすいかと思います。もちろん、人間はその時に、こういった動きの体験を積み重ねているという意識はないと思います。無意識的に修得していくということです。

 偶然にも自然動作を修得できる環境に居た場合、大人になってからの不調率は低いでしょうし、そうではなく緊張動作を修得してしまう環境に居た場合は、大人になってからの不調率が高いでしょう。

 こういった無意識的な動きを修得し、それが緊張性動作だった場合は大人になってから社会に出て様々なリスク(引き金)が加わると不調や身体の痛みを発症しやすくなります。

 社会に出てからのリスクに関しては、操体法の考え方が非常にわかりやすいので以下に紹介します。

◆長時間の同一姿勢

◆繰り返し行う軽作業

◆スポーツ等の急激な運動

◆外力(事故や転倒など)

◆強い精神的ストレス

 ここでみるべきは、上記の要素に該当していても大丈夫な人と、そうではない人が存在するということです。ここにこそ、子供のころから積み重ねてきた動きが深く関係していると推測できます。

 それでは緊張性動作を修得し、現在不調や痛みに悩んでいるものをどうすればよいのか?

 

 答えは単純、自然動作を修得すればいいということになります。自然動作とは一つヒントを言えば、全身的に動いたときの頚と腹の状態がどうなっているのか?という点です。健康という視点で、なぜ体勢が大切かと言えば、この頚と腹の緊張に関係しているからです。そしてさらに、頚と腹に密接な関係にあるのが呼吸です。結局、呼吸を制するものは身体を制すと言っても言い過ぎではないかもしれません。呼吸とは肺活量や最大呼吸力の事ではありません。

 話を元に戻しますと、多少の時間はかかるかもしれませんが、緊張性動作を放置しておく事のリスクを考えれば取り組んでおく必要があると考えます。

 既に痛みや不調が起きてしまっている時や症状が重い場合は、治療と並行しながら修得するという道があります。整体技術とはそのためにあるようなものだと思っています。

 

 やはり“身体を育てなおす”ことは重要なコンセプトです。