肉体か?感性か?

どうも違和感があるんです

道具を使った体操法。器具を使ったトレーニング。

確かに道具と器具を使う事は再現性を高めるという点と、間違いを起こしにくいという点では非常にわかりやすい・・・

それでも、何か違和感を感じてしまいます

日常生活での動きは、当たり前ですが何も道具や器具を使っていません。という事は道具や器具では本当に修正しなければならない動きの癖を修正できないのではないだろうか?

そういった違和感が私のなかに存在しています

これは非常に微妙なところです。

何も道具がない中で、様々な環境下で自在に動けて、初めて自然な動きが出来る・・・

体軸法で器具や道具を使わないのは、道具も何もない生身の人間という動物そのものの動きの感性を成熟させる事が目的ですので、器具や道具では感性は成熟しないという位置づけにしています

感性が強化されないと、身体は根本からは変わりません。表面的に筋肉や関節が少し変化するだけです。

これは現在、治療やヨガに来ている方が一番実感していることかもしれません。特に色々なワークに参加された方ほど、そういった感想をくれます。

体軸法は肉体ではなく、感性をみているのです。

以下はちょっと専門家向けです。

いつものように代表的な小難しい言い方をすれば

「構造的には安定体でも、機能的に安定体とは限らない、●●筋を鍛えるとか身体の歪みを整える、左右対称にするとかいうのは構造的安定体の作り方、でも人間はマンションと違って動く生き物、つまり機能する生き物、機能的安定体こそが目指すべきところ」

と言います(苦笑)

さらには

「例えば、腰の反りが強い場合には腹筋強化が一般的に知られている。確かに腹筋を強化すると腰の反りが改善され、構造的には、建てつけ的には安定する。しかし、そこから動くという行為に及ぶと、構造ではなく動きという機能が問われてくる。」

「器具や道具を使って、構造的安定体は作れるが、その後に機能的安定体を作るという作業、つまり安定した身体を、安定した状態を維持しながら使うという、もう一つの作業が必要になる。」

これを段階としてやるのではなく、できれば一緒にやって方がいいのではというのが代表と私に発想です。

・構造的安定体=機能的安定体→ではありません。
・前後左右均等の身体=動ける身体→ではないということです。

ちょっとわかりづらくなってしまいましたが、体軸法で器具や道具を使わないのは、何もない人間という動物そのものの動きの感性を成熟させる事ですので、器具や道具では感性は成熟しないという位置づけにしています

ちなみに言うと、よく左右対称理想論、右と左は均等に・・・この左右対称という発想が色々な障害を生み出していることに多くの専門家はなかなか気付いていないのです。

最も良い例は「歩き」です。これについてはまたの機会に・・・

情報提供:渋谷鍼灸理学治療室 体軸法 渋谷 森田愛子