森田敦史です。
動物的な身体能力を鍛える方法の一つを紹介します。
“全身-腕”つまり、腕断食のようなイメージです。
シンプルな事ですが、様々な事に気付く効果は期待できると思います。
手を介在した状態でバランスを取ろうとすると体勢が不十分になりやすいというのは、実際の臨床経験上で確信しているところです。
訓練や強化されていない限り、手をフリーにさせて身体を動かすとどうしても手でバランスを取ろうとするのが、人間という動物の特性です。*手でバランスを取ることが悪いのではなく過剰な偏りが問題です。特に不調体質の方に顕著に現れます。
簡単に説明してしまうと、
手でバランスを取ろうとしてしまう。
↓
体勢が不十分になり、不安定な状態になる。
↓
不安定な状態になると、その不安定な中でバランスを取ろうと頚と腹部を緊張させる。
↓
頚と腹部が緊張すると、呼吸が止まりやすくなる。
↓
頭蓋・胸郭・骨盤を機能的に連結している頚と腹部が緊張すると全身に緊張が波及する。
↓
筋・関節にロックが掛かり、動きが制限される。
↓
不安定な体勢・動作の状況に応じて、身体の特定部位に負担が集中し痛みを発する。また、いつ痛みが出てもおかしくない状態が生まれる。
このようなイメージです。
では、このイメージに従って修正していくためのポイントは・・・
◆バランスの基準を変える。
◆頚と腹部が緩む動的動作。
◆呼吸という概念。
◆各関節のロックが全身連動の流れの中で外れてしまう動作。
◆身体の軸を崩さない状態で、筋肉を適切に伸張刺激に弛緩させる。
こんな感じで、考えていきます。
もっと根本には“注意”の修正がありますが、それはいずれかの機会に。
話を元に戻しますと、私個人の経験で言いますと、腕断食は相当にやった記憶があります。
以前、往診に伺っていた患者さん宅の中には、畳2畳分くらいのスペースで治療を求められることが多く、また患者さんの頭側の移動やまたぐ事は厳禁ですので非常に窮屈さを感じていましたが、その中でどう身体を使っていくと疲労がなく、スムーズに出来るかを考えたときに実践していたものです。
腕断食とは言っても、完全に手を使わないわけではなく手を出す前に体勢を十分に作りましょう、ということです。
2畳分くらいのスペースで治療するには、体勢をよく考えないと自分が辛くなってしまいますので、本当に勉強になったと思っています。
手を出す前に、体勢確認!
大切な事です。